ドライトマトとケッパーのフォカッチャ
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何の前触れも繋がりもないのに、突然よみがえる記憶ってある。
昨日の夜、眠りにつく前がそうだった。いつもならたいてい翌日の予定を確認しつつ、あれもしてこれもして・・・なんて考えているうちに眠っていることが多いのだけれど、昨日突然思い出したのは、ある占い師のことだった。

神戸には昔から占いスポットが何箇所もある。今ではずいぶん廃れてしまった感じもするが、ブームの頃はビル一軒が丸ごと占いの館と化している場所がいくつもあった。
私は決して重度の占い好きではなかったし、ましてや占いに依存しているような女の子ではなかったけれど、世間では占いが流行っていたこともあり、学生時代には何度か友人と一緒に占い師のもとへ足を運んだことがある。

私が一番最初に見てもらったところは、センター街の地下にあった小さなお店だった。当時中学生だった私は、どきどきしながら自分の未来を占ってもらったのだ。
何を聞いたのか何を言われたのか、細かいことはまったく記憶がないのだけれど、ただ、その占い師のお姉さんが

「あなたに向いてる職業はコピーライターです」

と言ったことだけは鮮明に覚えている。
その言葉は中学生の私にとってはものすごい衝撃で、コピーライターがどういう仕事であるのかも知らないくせに、その格好のいい言葉の響きに激しく感動・納得したのだった。
それからしばらく、私は漠然と将来自分はコピーライターになるんだと、いや、なれると、いや、なっていなければおかしいと思っていた。

次に占いに行ったのは高校時代だったと思う。

多数の占い師が集まっている占い館では、たいてい入り口に占い師のプロフィールみたいなものが貼ってあるので、そこで誰に占ってもらうかを決める。
私は「気の弱い方はご遠慮ください」と書かれた、マントをかぶったタロット占いのお姉ちゃんを選んでみた。
チケットを買って部屋に入っていくと、タロットカードの置かれたテーブルの上には少年ジャンプと食べかけのお菓子が散乱していた。
しまった!と即座に思ったのは私だけではなかっただろう。あわてて片付けるお姉ちゃん。神秘的なイメージが崩れたあとの占いほど信用できないものはない。それでも「占い師変えます」と言い出す度胸はなかった。
そしておもむろに占いは始まったが、そのお姉ちゃんは全然怖くなかった。むしろ礼儀正しかった。しかも

「あなたは競争率の高い人と結婚します」

と言って微笑んだのだった。
私、占いはいいことだけを信じる主義。
ああそうかそうなんだ、私は芸能人と結婚するかもしれないな。素早くそう理解することにした。そして、こんな非日常的な夢を与えてくれるこのお姉ちゃんは、いい占い師だなと思ったのだ。

それから次は大学時代。

私はまったく顔を知らなかったのだが、テレビ(関西ローカル)によく出演しているらしい、ちょっと有名なおばさん占い師に見てもらったことがあった。
しかしこの人の話は、最初から最後まで説教臭かったことを覚えている。言われたことを要約すると、「いらんことごちゃごちゃ考えんと、しっかり勉強したらええねん」という内容だった。
説教されて安心する人もいるのかもしれないけど、こんな話がしたいのなら、私はうどん屋のおばちゃんにでも相談するのだ。私にはどうもしっくりこない占いであった。

(信じられないかもしれませんが、ここまでは前置きです。)


私が昨日思い出したのは、10年位前に見てもらった占い師のこと。友達に付き添って行っただけなのに、なぜか成り行きで見てもらうことになった、私の最後の占い体験。

その占い師は40歳前後の普通の外見をした男性で、手相とカードで占いをしていた。
彼はまず、その頃の私の生活・精神状況を淡々と言い当てた。うわぁすごいねー、なんて友達と言い合っていると、次に彼は未来の私の夫について語り始めた。
イタリア人と国際結婚するとは言わなかったけれど、その時予言したこと(婚期や夫の性格・境遇など)が全部当たっていることに、昨晩気づいた。うおお!思わず隣で眠っている夫を叩き起こしそうになった。
そして、さらに思い出した。確か最後に彼はこう言ったのだった。

「あなたは幸せになるよ」

いくら単純な私でも、その後ずっとこの言葉を信じて生きてきたわけではない。なんせ昨日思い出したくらいの話である。
だけど、コピーライターにしろ、芸能人の嫁にしろ、なんとなく自分の未来が少し嬉しくなるような気にさせてくれる占いって、悪いもんじゃないと思う。
当たる当たらないの大前提を無視した私の占い体験は、こんな感じでけっこうそれなりに人生に影響を与えてきたのかもしれない。多分もう、この先わざわざ占いに行くことなんて、ないと思うけれど。
今なら、占いでお金を使うより、夫と娘の3人でケーキセットでも食べる方が幸せだと思うけど、それでも、もしもまたどこかで、あの最後の占い師を見かけることがあったら、「今幸せでしょう」って言ってもらいたいような気はする、なんとなく。



危うく書き忘れそうになりましたが、本日の料理はフォカッチャ。
来客予定のあった日に、おつまみに作ってみました。いつもはプレーン生地にローズマリーを載せて焼くのがうちの定番ですが、これはかなり私好みの味。なんていうか大人の味。
ドライトマト(オイル漬け)とケッパーを生地に練りこんで、ローズマリーを載せて焼いています。焼き上がりがもっと硬くなるかと思ったけど、大丈夫でした。娘には評判悪かったけど。
by t-fortunati | 2005-12-05 21:10 | うちの食卓


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